
嗅覚障害になってしまったの。
約1年半経つのでこれまで経過と心境を備忘録として残したいと思います。
【きっかけ〜経過】ただの軽い風邪のはずが…違和感を覚えるまで
2025年3月初旬、風邪をひいてしまいました。
症状は軽い喉の痛みと少々の鼻水程度だったため、「市販薬で様子を見よう」とドラッグストアで感冒薬を購入して服用を開始。1週間ほどで喉の痛みは無事に治まったものの、鼻水だけは2週間ほどダラダラと長引いていました。
しかし、本当に違和感を覚えたのはこの後です。
毎朝食べている納豆の匂いが、2週間経ってもまったくしないことに気づきました。口に運んでも味がはっきり分からず、「鼻水が出ているから匂わないだけだろう」と最初は軽く考えていたのです。
症状自体が軽かったこともあり病院へは行きませんでしたが、「もしコロナ感染による味覚・嗅覚障害なら、亜鉛不足が関係している」という情報を思い出し、市販の亜鉛サプリメントを試してみることにしました。
「これで様子を見よう」と1ヶ月ほど真面目に摂取を継続。
ですが、一向に匂いも味も戻る気配がありませんでした。ここでようやく「これは何かおかしいのかもしれない」と不安になり、耳鼻科を受診することを決意しました。
【診断】耳鼻科で判明した「感冒後嗅覚障害」とアリナミン注射の驚きの結果
2025年5月19日、これ以上放置するのは危険だと感じ、かかりつけの耳鼻科クリニックを受診しました。
まずはレントゲン撮影を行いましたが、副鼻腔に炎症などの異常は見られませんでした。医師からの見解は「風邪(感冒)のウイルスによって、嗅神経がダメージを受けてしまったのだろう」とのこと。また、味覚が落ちていると感じていたのも、嗅覚(匂い)が鈍っている影響が大きいというお話でした。
初診の日は、以下の3つのお薬を処方してもらい経過を見ることになりました。
⚪︎プリビナ液(点鼻用局所血管収縮剤)
⚪︎リンデロン点鼻液(ステロイド点鼻薬)
⚪︎ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(漢方薬)
指示通りにお薬を使い続けたものの、1ヶ月後の再診時にも症状に大きな変化はありませんでした。
そこでこの日、詳しい状態を調べるために採血とアリナミン注射(アリナミンテスト)を行うことになりました。
私の場合は注射の最初から最後まで、全く匂いを感じることができませんでした。
アリナミン注射
アリナミン注射🟰にんにく注射とも呼ばれるもので注射開始から匂いを感じ始めるまでの時間と匂いが消失するまでの時間を測り嗅覚機能を調べる検査。
医療従事者に聞くと注射する側でもけっこう匂いがする、と言っていました。
これらの結果から、あらためて「風邪による嗅神経のダメージ(感冒後嗅覚障害)」と診断されました。医師からは「この障害はすぐに回復する人もいれば、長く時間がかかる人もいる。まずは現在のフルコースの治療を続けていきましょう」と説明を受け、治療を継続することになりました。
【治療と生活】現在も続く治療と、匂いを失って変わった日常
耳鼻科での受診を開始してから月日が経ちましたが、2026年8月現在も治療を継続しています。
処方薬は状況に合わせて見直されており、初期の薬に加え、亜鉛が多く含まれる「ポラプレジンク錠」を追加したり、点鼻薬の種類を変えたり、内服薬の組み合わせを調整してくれています。
しかし悲しいことに、目立った改善は見られないまま今日に至ります。 風邪をひいたあの日から、毎朝食べる納豆の匂いはしないままです。
日常のふとした瞬間に、嗅覚を失ったことを痛感させられます。
⚪︎大好きだったコーヒー:香りは一切わからず、深呼吸して匂いを嗅ごうとしても「暖かい湯気」しか感じません。
⚪︎焦げた匂い:パンをうっかり焦がしてしまっても、焦げ臭さに気づくことができません。
⚪︎アロマリハビリ:もともとアロマが好きでいくつか持っていたため、精油の香りを嗅ぐ「アロマリハビリ」も試してみましたが、どの香りを嗅いでも何も感じられませんでした。
時には、月に2〜3回ほど「あ、今匂いがしたかも?」と感じる瞬間があります。しかし、気になって意識的にもう一度嗅ぎ直してみると、やっぱり何も匂わないのです。
これはきっと、嗅覚が戻ったわけではなく、元々持っている過去の記憶や視覚情報から脳内で「こういう匂いだったはず」と再現されているだけなのだと思います。今はまだ健康だった頃の記憶があるからこそ、香りや味を想像できますが、「このまま時間が経って記憶が曖昧になったら、香りも味も完全に忘れてしまうのかな……」と不安になることもあります。
ただ、幸いなことに「味覚」は完全に失われたわけではありません。
甘い、苦い、辛い、酸っぱい、しょっぱいといった大まかな「基本味」は感じられますし、食べ物の「食感」もはっきりと分かります。
それでも、以前のように素直に食を楽しめなくなったのは事実です。もともとカフェ巡りや食べ歩きが好きで「新しいお店に行ってみたい」という気持ちはあるものの、「どうせ味がよく分からないからな……」と思ってしまい、外食をする機会は自然と減ってしまいました。
ちょっとした「怪我の功名」と、生活の中で感じたメリット
ずっと落ち込んでばかりもいられないので、日常の中で「嗅覚がなくて助かったこと」を意識的に探すようにもなりました。
例えば、世の中の「不快な匂い」を一切感じなくて済むことです。
生ゴミの匂いや、夏場の不快な臭気、トイレの匂い、生ごみ処理時のストレス……そういった不快な臭いに一切悩まされないのは、怪我の功名というか、唯一のメリットかもしれません。「嫌な匂いを嗅がなくていいのは、ちょっと得しているかも?」と、前向きに捉えるようにしています。
それでも「匂い」は人間にとって大切な防衛反応
ただ、不快な匂いを感じないことが「良いことばかり」かというと、決してそうではありません。身をもって体験して痛感したのは、「匂い」は人間が生きていく上で欠かせない危険察知の防衛反応(アラート機能)だということです。
- ガス漏れや焦げに気づけない:火の不始末やガスの匂いを感じ取れないため、防災面でのリスクが高くなります。
- 傷んだ食べ物に気づけない:酸っぱい匂いや違和感のある臭いで「腐っている」と判断することができません。
「嫌な匂い」も、本来は自分の身を守るために必要なシグナルだったのだと、嗅覚を失って初めて気づかされました。不快な匂いを感じない楽さはありつつも、安全面には人一倍気を配らなければいけないなと感じています。
【周りへの共有】周りの人には伝える?伝えない?葛藤と周囲のリアクション
まわりの人には伝えるべきか伝えないべきか
嗅覚や味覚のトラブルは目に見えない症状だからこそ、「人に話すべきかどうか」はとても悩む問題でした。
しばらく一人で抱え込んでいましたが、症状が出てから9ヶ月ほど経った2025年の年末、思い切って家族に打ち明けてみることに。
しかし、当事者以外には実感が湧きにくいのか、反応は「あら、そうなの?」という程度で拍子抜けするくらいドライなものでした(笑)。
きょうだいに至っては話したこと自体を忘れてしまうようで、今でも「この良い香り嗅いでみて!」なんて普通に言われたりします。
ごく親しい友人に関しても、1年ほど経過してから「本当に信頼できる親友」にだけ話しました。
すぐに言えなかったのは、どこかで「一緒に食事をしても『どうせ味が分からないんでしょ?』と思われたくない」という気持ちがあったからだと思います。
そして、今でもまだ言えていないのが「よく行く大好きなご飯屋さん」です。
いつも親切にしてくれて、美味しい料理を提供してくれるお店の方々の顔が浮かぶと、どうしても言い出せません。
「今まで『美味しい』って食べていたのに、実は味が分からなかったのかな……」と悲しい誤解をさせてしまったらどうしよう、と考えると、どうしても打ち明ける勇気が出ないのが本音です。
【まとめ】発症から1年半、これからの治療と向き合い方
風邪をきっかけに嗅覚・味覚の違和感を覚えてから、気づけば1年半という月日が経ちました。
現在も病院に通い、お薬での治療を続けていますが、残念ながら今も匂いを感じることはできていません。
正直なところ、「このまま治療を続けていて効果はあるのだろうか」「一度お薬を休んで(休薬して)様子を見た方がいいのかな…」と、通院の継続について悩む日が増えてきました。自分一人で抱え込んでいても答えは出ないので、次回の受診の際に、担当の先生に素直な気持ちを相談してみようと思っています。
五感のうちの「匂い」を失うことは、想像以上に日常生活の彩りや安全に影響を与えるものです。
「いつか戻るかもしれない」という希望を持ちつつも、焦らず、今の自分の状態と上手に付き合っていく方法を模索している最中です。
感冒後の嗅覚障害は人によって経過も様々で、長期戦になることも珍しくありません。私と同じように「風邪のあと匂いがしない」「なかなか治らなくて不安」と悩んでいる方に、「一人じゃないんだ」とこの記事が少しでも寄り添えたなら幸いです。
また先生に相談した結果や、今後の経過についてもブログでお伝えしていきたいと思います。